ー健康福祉の現場にアーティストを招いて化学反応をおこす!?アートが健康づくりにどのように影響を及ぼすのかー
2017年から地域おこし協力隊として3年間活動をした京極歌織の取り組みの一つとして、健康福祉の様々な現場にアートを介入させるとどのような化学反応がおこるかをテーマにした「アート×健康福祉!?」という企画を実施しました。2018年は音楽家のやぶくみこさんをゲストに、じっくりOB会を対象に2回に渡ってワークショップをおこない、アンケートを含めた反応や、その後の効果を垣間見ることが出来ました。
効果の一つとしては、「自分の意見やアイデアがかたちになった」ということによるシビックプライドの向上です。神河町での生活から出てくるイメージや言葉を歌や踊りにするということで、自分たちの住んでいる町やコミュニティについて再度客観視する機会を持つことが出来ました。
また、もう一つは個々の感性や考えを周りに伝えることで改めて個人個人が尊重されることです。普段「65歳以上の高齢者」という括りで生活をおこなっていると、いつの間にか「支援される側」という役が定着し、受け身でいることが当たり前になってきます。一人ひとりが生きてきた人生はそれぞれ全く違い、それによって生み出される考えや言葉もまた、一人ひとり違うのだということを今回の企画で改めて気づかされました。
この企画は同じグループを対象に2回おこなわれましたが、教室自体は毎週おこなわれているので総合的な効果として挙げると、「支援を受けに来る受け身の教室」から「参加者それぞれが自分の役割を見つけて働きかける教室」に変化していったということです。更に一部の人は今まで興味を持つ機会のなかったダンスや音楽などの催しに積極的に参加し、感じたことを伝えてくれました。まだスタートして一年ですが、それぞれが自分の出来ることで場に働きかけようとする人が増えたのはうれしい変化です。
その後も、自主体操支援のボランティアリーダーさん、ナースボランティアさんを対象に俳優の菅原直樹さんをお招きし「老いと演劇」のワークショップをおこない、いつもとは全く違う切り口で「認知症」について学び合い、大きな反響を呼びました。
そして2019年、シニアダンスチーム・チアBAABAの発足に関わったご縁から、杉区地域サロンの男性メンバーとも繋がり、アーティストとワークショップを重ねました。歌作りにはやぶくみこさん、踊りづくりにはダンサーの京極朋彦さん、発表会の演奏には三味線奏者の東婦美子さんが関わり、オリジナルの盆踊りが完成しました。今でも継続的に道の駅で発表を続けています。ひとりひとりの「楽しい」と思う気持ちはこんなにも地域に伝染し、笑顔を呼ぶのだと大きな実感をする出来事でした。