Amakioto/ 3月 9, 2019/ ワークショップ, 地域のしごと/ 0 comments

3月7日は、俳優であり介護福祉士でもある菅原直樹さんをお招きしての「老いと演劇のワークショップ」を開催しました。なんと菅原さん、神河町に来る前日に・・・「芸術選奨文部科学大臣新人賞」という、文化庁が芸術分野で優れた業績をあげた人に送るというものすごい賞を受賞されました!!!当日は神戸新聞にも大々的に取り上げられ、私も大興奮でした。

初めは、菅原さんの活動されていることや、主宰されている「OiBoKkeShi」についての紹介がありました。劇団名が「老い・ボケ・死」から来ていること―世間では「老い・ボケ・死」から目を背けたがる風潮があるけれど、演劇を通して「老い・ボケ・死」の豊かな世界を発信出来たらーという菅原さんは、現在90歳になろうとしている岡田忠雄さんを看板俳優に迎え演劇作品を発表しています。

さて、紹介が終わって早速、身体を使った遊びに入ります。菅原さん曰く、リハビリテーションとレクリエーションを掛け合わせた「遊びリテーション」で遊びます。

言われた番号に反応し、身体に指をさして遊ぶゲームです。皆さんさすが、普段から介護予防教室に通われているだけあって反応が早い。唯一、男性の参加者である2名の内1名が張り切って番号を振る側の役を演じてくれました。

 

最初は皆さん余裕でしたが、だんだん・・・最後の方は場所を移動したり、色々な人の部位を指して遊びました。賑やかだったな~。

時々間違えたり、分からなくなって笑ってしまったり、そういう「できないこと」の方が遊びでは重要だと菅原さんは話します。普段の生活で、私たちは「うまく出来ること」を強いられることが多いですが、遊びの世界では違う。遊びの大きな特徴は「できない人が居るから盛り上がる」。できないことを笑い飛ばしながら、できなくなってゆく自分を受け止める、実は深いワークなんだなあ・・・と見ていて感じました。

最初はちょっと硬かった雰囲気も、この遊びを通して一気に解れました。

そして次に、認知症の人役と介護者役に分かれて、ぼけを受け入れる「イエス・アンドゲーム」をおこないました。今回、参加者が43名と多かったので、5グループに分かれておこないます。

 

今回、参加されている方がボランティアリーダーの方が多かったのもあり、皆さん女優・・・ボケるのも、受け入れて提案するのも上手な方が多かったです。私がこれを初めて体験したとき、この「イエス・アンド」は結構難しいと感じました。突飛なことを言われると、ついついそれを正そうと思って否定したくなるんですよね。

ボケ役がとても上手な女優さんがいらしたので、どうしてそんなに上手なんですか?と伺うと、「大好きだった自分のお婆ちゃんが認知症だったから、よく分かるのよ」とのこと。介護を経験されている方と、認知症について全く初めての方で、ワークを通して感じることは大きく違うんだろうなと思います。

最後は、菅原さんが選んだ名女優と共に、皆の前で今のワーク中の様子を発表しました。まるで、台本のある演劇のように良くできていましたよ!

ワークショップとは言え、二人とも輝いていました。こういう風に、さりげなく彼らをフューチャー出来る仕組みは素晴らしいな・・・マネしたいです。

 

このゲームは、認知症の人の見当識障害を疑似体験するゲームです。認知症役の人のボケを「受け入れる」のか「否定し続ける」のかで、認知症の人の感情は180度変わるという点が興味深いところです。「ボケているから何も分かっていない」と思って、それをついつい自分の思う正しさに引き戻そうとしてしまう人は実際多いのだと思います。家族だったら、尚更だと思います。

でも、記憶が曖昧だったりついさっきあったことを覚えていないとしても、感情は残る。周囲の人の関わり方が変わるだけで、結果的にコミュニケーションがスムーズになり、認知症の人の行動・心理症状を減らすことが出来るのでは?という提案の一つでもあり、これが演劇で出来るって凄く面白いですよね。

でもこれは、認知症のことだけでなく、夫婦間や親子間でも、同じように応用出来る気がしました。

体験型ワークが盛り上がったところで、最後は、OiBokkeShiの看板俳優である岡じいこと、岡田忠雄さんの実際の奥様への介護の様子を撮影されたドキュメンタリーを観ました。

一度架空の場所で体験したことを、岡田さんが実際に家で試している様子を見ることによって、より心に迫る、リアルな体験が出来ました。老々介護は今後、益々増えていくでしょうし、今回の参加者の世代(50~70代)には、大きく響くものがあったようです。

終わった後の皆さんの表情や、アンケート、後日お会いした時にかけて頂いた言葉などで、今回もアート×健康福祉シリーズを開催出来て良かったと感じます。今回は、健康福祉課、社会福祉協議会の皆さんにもご協力頂き、開催が叶いました。

菅原さんも、年度末のお忙しい時期&受賞のおめでたい時にお越しいただき、本当にありがとうございました!!!2017年に私が神河町に移住した時から、とにかく菅原さんのことをネットで追いかけていて、facebookで友達になってもらい、その後、2回ほどワークショップに参加しました。「老いと演劇」をいつか神河町で・・・と思い、ようやく下地が整い開催が叶い、嬉しかった~。

参加者の皆さんも、ありがとうございました!!!

 

 

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