amakioto/ 12月 31, 2019/ アーティストインレジデンス/ 0 comments

あっという間に2019年も残り僅か

11月後半から12月にかけて、ソウルダンスセンターに約二週間滞在し、韓国人女性2人と私でリサーチを続けました。まだエッセンス的な動画しか編集出来てませんが、雰囲気だけでもご報告を兼ねて

 

今回の滞在で、ハン・ガンの「흰」という物語をテーマに選んだのは、まず韓国語が私は出来なくて、出来ないなりにも自分が探ってみたいテーマの根幹をメンバーに伝えるにはどうしたら良いだろうと考えていた時に出会った本だったからです。

物凄く個人的な、ある人の死についての記憶について。

ある人の死があるから、今の自分の生が成立するということについて。

初めて本を読んだ時、奥底に眠る記憶が引き出されたのが衝撃的でした。

本を読んで思い出した人の記憶を頼りに即興で踊って、観察者がその踊りを言葉にして物語を作り続けます。

普通だったらこういう「観察する」という行為は、振付家がダンサーに対して行うことが多いのですが、全員がそれを行うことで先ずは知り合う、その人の記憶の断片について探し続ける、そういうことを通して、個々の記憶を共有することを目指しました。

私達はお互いに、言葉を通して秘密を共有したわけではありません。「個人の抱える記憶」をダンスに再構築したものと物語に再構築されたものを通してお互いを知っていきました。

そして今回は、最後のショーケースまで身体と言葉で物語を再構築し続けるという実験をしました。とは言え、どのように観客に公開するかというのは、私の今後の課題でもあります。

なぜなら私にとって、どんなに「公開稽古として実験し続けたい」と思ったとしても、観客にその意図が事前に伝わっていなければ、観客は「日本人のショーケースを観に来た」という感覚でその空間に居るからです。

観客に上演を観てもらいたいのか、公開稽古の参加者としてその場を共有してもらいたいのか、提示する必要がありました。

実は、言葉が通じなくて一番困ったのはこの意図のズレを感じた時だった。もしも日本人に向けてだとしたら、私は日本語で今回の意図について、彼らにもっと正確に伝えられたと思う。最低でも、その空気の違いを感じた時点で意図を伝える努力が出来たと思う。しかし今回はそれが出来なかった。

言葉が通じない場合、何を伝えるかを事前に準備する必要がある。

しかし、直前まで探し続けたい場合、準備したものは無効になることが多々ある。

この経験を通して、どこまで決めて、どこまで野放しに続けるのかをもう少し緻密に詰めるか、もしくは信頼のおける通訳をお願いするかの準備が必要だと思いました。

これは次回の課題です。

しかし今回のリサーチメンバーの 연주 수지 はソウルで共演したこともあって、更に彼女達は日本語が少し分かることもあり、言葉の問題はありつつも理解しようとする姿勢が強く、本当に本当に助けられました。

日本語が分かるからこそ、私の拙い韓国語も通じるのだと思い知りました。

129日以降、日本に帰ってきてからは他のことで忙しく、なかなかじっくり考えることが出来なかったけど、メンバーからの実験の感想とソウルで生まれた24の物語を見返し、次なる展開を考えているところです。

観察者からの物語を受けて、自分の抱えている記憶と踊りには揺らぎがあると感じました。悲しい後悔のような思いと希望が入り混じっていて、決して解決はしない。生きている人のカラダと心は、固定化されないのだと思う。

他の観察者が自分と全く違う物語を創っても、何故か共感出来るのが面白い。言葉に表しきれないダンスを、観察者それぞれが掬い上げる感じ。

今回、この観察者をしてくれたのは수지だったのですが、彼女が最後の日に創った物語と、その日初めてダンスを物語にした観客の物語を比べると、驚くほどの差がありました。

観客の物語

1.

나무에서 나뭇잎이 간신히 달랑달랑 매달려 있다가 떨어진다. 떨어진 나뭇잎은 서서히 앞으로 가다가 바람이 점점 거세지고 함께 요동친다. 어디론가 계속 휩쓸려 날아가던 나뭇잎은 잠잠해진다

木から一枚の木の葉がやっとぶら下がって落ちてくる. 落ちた木の葉は徐々に前へ進み,風は次第に激しくなり,共に揺れ動く。どこかに飲み込まれ、飛んでいった木の葉はすぐに静かになる。

2.흰 손가락이 발끝을 향하자 풍경이 거울로 드러섰다. 나의 한은 강박으로, 시간 속에서 기록되어 모두의 가슴에 남처럼 꽂혔지만, 그래도 결국 우리 모두 화해했다

白い指がつま先に向けられると、風景が鏡に露れた。 私の恨みは強迫で、時間の中で記録され、みんなの胸に他人みたいに突き刺さったが、それでも結局私たちみんな仲直りした。

3.저기 앉아있는 여자는 과거에 약속을 같아. 생각해도 떠오르지않아 문을 열고 기다리며 생각하니 다른 시간 내가 보였다. 바람이 세차게 불어오니 사라졌다

あそこに座っている女は過去に約束をしたようだ。 思っても浮かばずドアを開けて待ちながら思いとは違う時間の中、僕が見えた。

風が激しく吹くと消えた。

4.손으로 머리를 정돈하다. 손으로 바닥을 두드리다. 엎드려 기도하다. 90’각도로 팔을 움직이다. 고쳐앉아 손으로 바닥을 두드리다. 두드러기. 가려움. 씻어내다

手で頭を整頓する。 手で床をたたく。 うつぶせに祈る 90′角度で腕を動かす。 座り直して手で床をたたく じんましん かゆみ 洗い流す.

5.나를 스치고 지나간다. 무언가에 이끌려 살아간다. 찾아 헤매다. 하고 싶은 마음을 보여주다. 필요한 것들이 없다. 나에게 이야기 해본다

私をかすめて通り過ぎる。 何かに惹かれて生きていく. 探しまわる やる気を見せつける 必要なものがない。 私に話して見る.

6.하염없이 다른 세상을 바라보았다. 세상이 원통하구나. 펼쳐낸다. 익숙한 나의 공간에서 나는 날아오른다. 나의세상은 매우 아름답다

とめどなく違う世の中を眺めた。 私の世の中が恨めしいな。 広げる。慣れた私の空間で私は飛び立つ。 私の世の中はとても美しい.

7.*(이야기는 아닙니다.)절대 시작되지 않는 소설. 발이 서로 다른 방향으로 있다. 팔로 땅을 쓴다. 땅을 발로 끈다. 혼자서 태어나는

(話はありません。 )絶対はじまらない小説 足が違う方向にある. 腕で地面を使う. 地面を足で引く。 独りで生まれること

リサーチメンバーsujiによる物語

온몸이 공기로 가득 차오르고

위에 떠오른다.

밖으로 나오자 정신이 들었다.

손가락을 펼쳐보았다.

순간 몸이 또다시 바닷속으로 무너져 갔다.

바닥을 두드리는 소리가 들리고 눈을 떴다.

창문이 열려 있었고 꽃이 피어 있었다.

全身が空気に満ちて

水の上に浮かび上がる。

水の外に出ると我に返った。

指を広げてみた。

一瞬、体が再び海中に崩れかかった。

床をたたく音が聞こえて目が覚めた。

窓は開いていて, 花が咲いていた。

まあ、当たり前だけど、このグラデーション、(私は愛のグラデーションと名付けたいのだけど、)踊りを観て物語にするという行為をし続けてる人ほど、動きの質感やそのダンサーの持つエッセンスの理解度が高まるのだということが分かります。

こういう愛のグラデーションをこのように可視化したのは私は初めてで、とても新鮮だったし、何より次に進もうと思えるのが嬉しかった。こういうことやったこともないし、全然分からないながらも自分なりに準備して、一つ一つ手触りを確かめながら進めたのは良かったです。

次はこの、生まれた物語の中の韓国語を音としてインプットし、振付化して日本人ダンサーと踊ります。その後、また韓国へ行く。

その前に、来年の2月には関西でこのリサーチについての報告を少しさせて頂く機会も得ました。

中々思うようにいかないことも多いけれど、これだけは着実に駒を進めたいと強く思うので、今後も見守って頂けると嬉しいです。旦那さんを初め、心強い仲間、味方も少しずつ揃ってきています。

2019年もお世話になりました。

2020年もどうぞ宜しくお願いします。

 

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